5/1(金)
学校から正式に連絡があったので、返事を持って寮へ。
道中、夕李に手紙を出しながら学生課へ書類を提出。
寮の屋上でぼんやりと待っていたら、真之介が来た。
付き合っていた時から、僕の事で知らない事は無いそうで…でも、そう思われているのならそれはそれで。隠し事が上手だったと言う事なのかな。
…まあ、今更言うまでも無い事ばかりではあるか。
話をしているうちに、なんとなく、夕李が僕にネクタイをくれた訳が解った気がした。
でも、もしそれが当たっているのだとしたら、僕は増々彼に何を返せば良いのかが解らん。
「おれの事を何も知らないじゃないか」と言われたのは、成る程、その通りだと思った。

部屋に帰る途中、掲示板で少し呆然とした。
僕に届かなかった手紙には、どんな事が書かれていたのだろう。

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4/30(火)
夕李に手紙は届いているのだろうか?
学校に連絡の問い合わせ。

…何となく、不安だな。

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4/23(火)
日記を読み返してみる。
2月17日…何の日だろう?
書いていないけれど、確かあの日、夕李が言った言葉は
「堤さんはこれ。涼太はこれ。」
何か一つずつだった気がする…ネクタイはやっぱり、堤に渡したものとセットで何か意味があるのだろうか?
…堤の誕生日…ではないか。そうしたら僕に物を渡すのはおかしい。
夕李の…でもないな。それじゃあ逆だ。
どう考えても普通の平日だとしか思えん。
段々混乱して来た気がする…。どこかで整理しないと。

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4/22(月)
とても久し振りに街へと足を向ける。
途中、立ち寄った郵便局から、夕李に手紙を投函した。…無事に、届くと良いのだけど。
ほんの些細な言葉を気にかけるのは、本当に悪い癖だ。
何となく、口をついただけの言葉かもしれないのにな。やれやれ。

瀬田さんと言う人に、ぼんやりとしているなと笑われた。…おかしい事じゃないと思うのだけど…。
会社帰りだと言っていた。ネクタイが目につく。
ネクタイは何の為につけるんだと聞けば、社会人として最低限の正装なんだとか。
…少しばかり、理由とは程遠い気がしない事もない。

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4/15(月)
理事長に手紙を投函した。
どうなるのだろう…。
まだ、先の事は解らない。

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4/14(日)
昨日会えなかったので、温室に行く。
夕李に学校を辞めようと思った理由を聞かれて、かなり言葉に詰まったものの、結局は全部話をした。
言えば気分がとても軽くなったけれど…でも、多分まだ続くのだろうと思うとげんなりする。
葛西とふざけている様なものでも無くて、心の底にどんよりと沈む嫌悪。
これを思えば、葛西なんぞかわいいものだ。抱擁の一つもくれてやっても良い。
踏み出せなかった気持ちを後押ししてくれるのは、ただ嬉しい気遣いとか。
それから、少しだけ耳を疑いたくなるような、嬉しい言葉だ。
一度、理事長に相談をしようと話をした。
門まで夕李を送る間、久し振りに敷地内でのんびりとした気がした。

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4/13(土)
昨日出した手紙に返事が来た。早いんだなと感心。
どうしたものか、改めて自覚するばかりだ。
僕の中で、また、夕李の中で。それぞれ認識している僕らは全くの上辺ばかりだと言うのならば、何ヶ月かの間に交わした会話や体温が、どうしてこんなにまでも苦しく感じるのだろう。
後ろめたいのはどうしてなんだろう。
押さえ難い衝動に突き立てられるのはどうしてなんだろう。
手を伸ばさないのは、どこか諦めているからじゃない。
…怖いからだ。

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4/12(金)
夕李と、堤に手紙を書いた。
多分、書くのはこれが最後なんだろうな、とか。
切ないものだ。

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4/10(水)
神社に参拝。
なぜか葛西に会う。なぜ…なぜだ。
透太に変な言葉を吹き込むものだから、お義兄様と呼べと踏み付けたのがいけなかったのだろうか、本当に呼ばれると気持ちが悪いことこの上無い。…腹立たしい。
同じ年の石川と言う人は、僕らが仲良しだと言う。
そう言えば、石川が着ていた制服は、あの近所のものだろうか…見たことが無いな。
参拝に来ていた人が後2人。
名前は聞かなかったけれど…願いごとは、叶うと良い。

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4/2(火)
新宿に出かけた。
広いロビーや、高い天井にはいくらか気後れを感じる。
ナオが飲んでいたレモンティーは、普段なら気にも留めないものなのに、妙に頭に引っ掛る。
…と言うか、あいつ…今思えば支払いをしていないじゃないか。自分の分しか払わなかったけど、どうするんだ?あれは。
緊張するのは、場所柄の問題だ。
見透かされて感じたのは、緊張にも良く似た、高揚感とでも言えば良いのか…。多分、そんな所。

学校はしんと静かで、寮のロビーでレモンティーを飲んだ。
見慣れた風景に、座り慣れたソファで飲んだレモンティーの味は、どこか嘘くさい味がした。
…無果汁だからか?
それだけではないだろうけど。

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3/27(水)
夜、帰って来たらロビーになぜか人集り。なぜ僕が夜遊びをして来た時に限ってあんなに…?
悪い事はしてはいけないと言う事なのだろうか?
真之介に秘密があるのなら一番に言えと言われた。なぜ一番…きっと江戸っ子たる証明のようなものなのだろう。
でも、一番に言うのは決めているから無理な話だ。
姉小路と鍋の話を少し。古雅先生は、先日会った時に探していた猫と会えたらしい。
良かったな。

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3/23(土)
花見。
闇鍋と称してとんでもない物を口にさせられて気持ちが悪い…。
大体、ホットケーキが醤油味って何だ。それにコーラのラムネってもっと疑問だ。
あんこも入っていればピラフも入っているし…食べ物への冒涜か?
「ぐつぐつ」と言わない鍋は初めてだ。溶岩流さながら。
花見と言いながらもほとんど花なんか見てはいない。妙だと思うけれど、でも相澤も言っていたように、恐らくは皆ではしゃぐ事に意義があるのだろう。

…それにしても、真之介が一年も前からやりたかった事って…。

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3/20(水)
透に返事を伝えてきた。
せめて好きな奴の名前を言って行けと言われたけれど…無理難題を言う奴だな。
砂浜の潮風はまだ冷たくて、春の到来はまだ遠くからこちらを窺っているような風だけど、透の言葉は温かい。…ごめんな。

帰ってくると、海の寒さはどこへやら、だ。それでも少し夜風に当たりたいと思った。
桜の下に、神様でもいるかも知れないと思ってふらりと出かける。
…いや、もしかしたら、真之介は凄いものを信じている。酒とは、桜とは、本当に神様が住んでいるものなんだろうか。
夕李に会って、話をして、手で触れた。
なんとも言えない。筆舌に尽くし難い感情が僕の中にある。アドレナリン効果なのだろうけれども。
生物の古雅先生と少しだけ話をしたけれど、妙にテンションが高くて恥ずかしい。
眠いと言って、部屋に帰ってきた。

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3/18(月)
返事を渋っている訳では無いのだけれども…いや、嘘だ。渋っている。
透ともう普通に話が出来なくなるのは、嫌なんだ。でも、曖昧に期待を持たせるのは、もっと嫌だ。
透を好きだと思う。一緒に話をするのは楽しい。
どうしてそう言う好きではいけないのだろう…。
キスをしたいと思わないのは、抱きしめたいと思わないのは、近くにいる事が無理だと言う事なんだろうか?
息が苦しくて仕方ない。

教室はしんとしていて、桜は早くも咲き始めている。
一年越しの花見だ。

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3/16(土)
海に行った。
透が…おかしな事を言うから…。

学校の屋上にふらりと出向く。
温室より最近はよくこちらの方に足が向くのは、気候のせいばかりではないのだろう。
春は目に見える程近くに来ているのに、鼻先にはまだ届かない。
この時季の変化の素晴らしい事と言ったら無いと思う。
去年僕が見ていた世界とは多分違う。雪は冷たいばかりでは無く、花は同じ樹に咲いているものでも、少しずつ表情が違う。
季節がひと回りした分だけ、僕も変わったのだろうか。

しまうだけの気持ちは無駄なものだと思わない。
気持ちを静かに、ただそれだけを大切にする事。感情の中に冷静と、強さを。
水を持つと透が言った僕の名前のままの気持ちではないのか?

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3/12(火)
屋上にふらりと。
おかしな話だと思うんだ。
初めはほんの小さなもので、時折気を緩めた隙に心をチラと掠めるような…。
僕の中にある、なんとも言い様の無い違和感は、一体何が原因でできているのだろう。
…逃げたいのに、意味も無く不安で、走っても走っても逃げられない。
まるで親と逸れた子供のような、闇の中に独り入り込んでしまったような…恐怖がすぐ近くに迫っているのを感じるような。
なのに反面、頭の中は水を打ったように酷く落ちついている。
ここ数日でそんな気分が一気に膨れたのは、一体なぜなんだろう。

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3/10(日)
コンビニへ買い物に行く。炭酸水も自販機で売って欲しいものなんだけど…。
精算をしようとした際に、真之介がやって来たから、少し話す。
話を聞くと、僕が思うよりも、真之介は僕の事を大切に思ってくれていた事が初めて解って、どこか上手く消化できない気分がした。去年、学校経営が怪しかったからな…。
今年は花見ができると良い。
真之介から初めて僕に対して「友達」と言う言葉を使われて、どこか嬉しい。
…と思った矢先に水をさされた。なんて奴だ。

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3/9(土)
久し振りに海の近くに出てみた。
暫くすると透がやってきて、今までどうしていたのかと言う。どうもこうも、ただ普段通りの生活を送っていたと話をしたら、薄情な奴だと言われてしまった。…なぜだ…。
犬の話を少し。
大きな犬が好きだと言うので、ハイジの話を少し。土佐犬の横綱を育てるのにも一度挑戦してみたいらしいが…それはハイジとは関係ないだろうに。
潮の香りが誘う少しベタついた空気は、不思議と不快では無いと思う。水に入って暮らしたいと言ったら、おかしいなと笑う。名前に水が入っているせいなのかと言われて、成る程なと思った。
帰り際、近くまた来ると約束をした。

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3/8(金)
街に出かける。
喫茶店でカフェオレを飲んで、寒さを凌いだ。
力を使わなくても、暖はとれる。
逆に、夏の最中も同じような事を感じるのだろう。
…では、この力は、何の為にあるのだろう?

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3/4(月)
夕李に会いたい。
そんな事ばかり考える。

…情けない。

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2/24(日)
水の中は気持ちが良くて、とても落ちつく。
久し振りにたくさん泳いだ。
上がろうと思った頃に、桜井が来たので新年の挨拶を…と言っても、もう新年と呼ぶのもおかしい。
真之介に伝言をすると伝わるのが早いと感心したら、伝言はまだ聞いていなかったそうだ。妙な偶然に驚く。
甘えてほしいと思っているのに、汲み取らずにおこうと突っぱねる気持ちがあるのは、互いが相手を想うからなのだろう。どれだけ甘えられたとしても、どれだけ好意を払いのけても、当人達にしてみればより依存して欲しいと感じてやまないのだろう。

でも、僕は甘えて欲しいと思う気持ちは無いのだけれども。
好きな人に求めるものがあるとするならば、それを「甘え」だと自覚しないでもらいたいものだ。

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2/23(土)
真之介に桜井に会いたいと伝えてくれとお願いをした。

僕は、思う。
学校を辞める時、これからの生活の変化が起こる時、真之介は僕にちゃんと伝えようと思ってくれると言うのに、僕は学校を辞めようと思った時、真之介の事を思い浮かべもしなかった。
…と言うか、言わないでも別に気にかける事もないのだろうと感じていた。
不誠実な自分の気持ちに、なんと情けなさを感じた事か。

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2/18(月)
夜中、寒いのと喉が乾いたのでカフェオレを買いにロビーへ。堤が誰かと話をしていたらしく、知らない人と、擦れ違い様挨拶をした。
寒いのが苦手。水の中が好き。目出し帽が重宝だと言う話をする。
水の中にたゆたうのは心地が良くて、水の中で生活ができればどんなにか気持ちが良いだろう。
堤は湿気が苦手なんだそうだ。弱点があるのは人間だから当たり前なのだけど、でも何故か意外だと感じる。僕の中で無敵だと言うイメージがあるせいなのだろう、弱点だと笑う事すら、既に弱点では無いものに変えている気がするんだ。
そう言う所に、少なからず憧れと近しい心情を抱く。
少しすると夕李がふらりとやってきた。他所行きの声でやって来るものだから、どこかおかしくて、笑ってしまった。
どう言う訳か制服のネクタイを渡される。
くれると言いつつ、返せとも言う。どうすれば良いのか解らなかったので、部屋に急いで戻って、僕のネクタイを返しておいた。
…でもなぜネクタイをくれると言ったのだろう?良く解らない。何か真意があるのだろうけれど、上手く汲み取れなくて少し歯痒い。
ただ、初めて夕李から貰ったものだし、大切にしよう。

…そう言えば、帰り際に竜巻きのような勢いで現れた人は、一体なんだったのだろう。
夕李は「ユウサマ」なんだそうだ。

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2/16(土)
バイト帰りに有楽町に出かける。
佐島さんと言う人に会った。
腕の力が強いらしくて、痣を持つ人にはセンサーのようなモノを感じると言うのだ。
センサーと言うか…嗅覚は働くと思う。存分に。
何となく、近くにいると「あ、この人だ」と解る気がする。
…最近、特に。

寝つけなかったので屋上へ。宮原先生と会った。
自分のテーマソングと言うものを持っているらしく、大変奇妙だと思う。
歌は盗み聞きをしないと聞く事は無理だと言うので、コッソリと天井にでも張り付いて聞き耳をたてる事にすると話をした。
真之介と少し話をする。卒業すると、当然だけど僕の目の前からはいなくなるんだな。少しずつ忘れて行くのだそうだ。
でも、忘れられる訳が無いと思うのが素直な感想。良くも悪くも、僕は彼に色んな事を教わったのだ。
愛情を抱かずとも、忘れられない人と言うのがいるんだ。
少なくとも、僕の中には。

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2/15(金)
街で人に会う。
…名前を忘れてしまったのだけど、でも、痣がある人だったらしい。ボードを持っていた。
「韮崎君だよね」
名前をふいに呼ばれるのには、まだ慣れない。
痣の持つ能力がどんなものなのかと聞かれたので、実演してみせた。
気にしている素振りを見せても始まらんから、便利なものだと言って、見せる。
でも、僕は思う。
寒い時は寒いと、暑い時は暑いと、素直にそう感じるのは人間らしい感覚ではないだろうか。
以前は今のような力があれば便利だろうとは思ったのだろうけれども、でもいざ持ってみれば持て余すばかりだ。
あればあるなりに、それに関しての満足もあれば、不満もある。

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2/14(木)(※諸事情により更新中)
葛西め…やはり奴はきゅっと絞めておくべきか?
等と思いながら、不覚にも透太と僕とは兄弟なのだなあと感じてしまったりもする。
…まあ、可愛さ余って憎さ百倍と言うし…と言うか、可愛さは元より微塵も無いし、憎さだけが百倍と言うのも葛西ならでは。

ヅラ男め。

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2/3(日)
寮の裏庭で、やっと夕李に会う事ができた。
年が明けてから初めて会う。きちんと挨拶をしておきたかった。
外にも風邪をひいていたのは大丈夫なのだろうかとか、本当は外にも色々と言いたい事があったのだけど、挨拶が長くなりそうだと言ったら「今生の別れかと思った」と苦笑いをされてしまったので、他の挨拶は省略。
久し振りに顔を見れて、会いたかったと素直に言ったら、それは喜ばしいと言われたのが、また素直に嬉しい。
何故か猫を連れていたのだけど、少しだけ触らせてもらった。
普段は怯えられてしまう事が多いのだけど、今日は全くそのような事が無かったので、少しだけじゃれた。
夕李の肩で悠然とする様子を見て、続と先日話をした内容を思い出す。
夕李は猫のようだと言う話を伝えたら、僕はぼんやりした猫で、続は狸なんだそうだ。どちらかと言えば、僕は山犬のような人間だと思っているのだけれども…。
続が狸なら、似ているから夕李も狸になるのだろう、と思ったけれど言わないでおく。
狸のような猫。なんだかおかしい。
言われていた時間よりも多く付き合わせてしまって恐縮する。
でも、反面とても短かった気がした。

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2/2(土) 
昨日随分と冷え込んだから、今日はロビーで待つ事にした。
本当はフラフラとしない方が良いのだろうけれど。
今日も今日とて夕李には会えず終いだったけれど、変わりに…と言っては何だけど、姉小路と久し振りに話をした。またも今年初めてと言う事で、明けましておめでとうと挨拶をする。
何気に、僕は友人に対して不義理をしているのだな。
進路の話を少し。姉小路は確か、聴くだけで卒倒するような曲を奏でるピアニストになるのだったと思ったけれど、なかなか進路は難しいらしい。
降霊やらオカルト関係が好きだったと思う…ので、余計に僕の実家の話はできないな。
出雲でまたばったり再会、と言うような事が無いと良い。

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2/1(金)
夕李と週末に待ち合わせをしたから、高い所に向かう。
寮の屋上でぼんやりとしていると、真之介が酔っぱらってやってきた。
…なぜアイツはいつも酒を飲んでいるのだろう?
今年会うのは初めてだったらしい。
明けましておめでとうと挨拶をした。

夕李には会えなかった。

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